記者発表を行いました(下甑島北部(鹿島町)における新属新種の哺乳類化石 の発見)
下甑島に分布する姫浦層群(今から約8000万年前の地層)から、下甑島北部(鹿島町)に分布する後期白亜紀の地層(姫浦層群)から哺乳類の化石が発見され、当時の北半球を中心に繁栄していた多丘歯類(たきゅうしるい)の右下顎と判明しました。
そのため、令和8(2026)年6月5日金曜日に記者発表を行いました。
記者発表の模様(市長あいさつ)
【図1】下甑島で見つかった多丘歯類の化石(前後長約3 cm)
今回の標本は、甑ミュージアムが実施する調査で発見されたもので、発見された多丘歯類はこれまでに知られているどの種とも異なる特徴をもつことから、中生代(恐竜時代)の哺乳類化石を専門とする愛媛大学の楠橋直准教授や学生 (当時) の世羅拓真氏らの研究チームがこの多丘歯類を新属新種「Koshikibaatar kashimaensis(コシキバータル・カシマエンシス)」と命名しました。
琉球大学助教 新山 颯大(にいやま そうた)先生は、2019年秋の調査における標本発見の経緯についてご説明いただきました。
リモート参加による琉球大学助教の新山颯大先生 (写真の中央)
愛媛大学准教授 楠橋 直(くすはし なお)先生に、中生代の哺乳類や多丘歯類の概要、本標本の特徴、命名の経緯、発見の意義について発表と説明をしていただきました。
また、甑ミュージアム 石川 弘樹(いしかわ ひろき)学芸員が、甑島の地質と重要性、及び薩摩川内市が実施している集中発掘調査に関する説明をしました。
(左側から石川学芸員、楠橋先生、田中市長、大村館長)
発見の意義・今後の展望
・発見された標本の歯などに既知の種とは明確に異なる特徴が認められたことから、本標本をホロタイプ標本として新たな独自の分類群(コシキバータル・カシマエンシス)が設立されました。そのため、本標本は今後の多丘歯類の分類学的な研究において、比較の基準として最重要な標本の一つとされます。
・アジアでは、後期白亜紀の地層から他の地域とは異なる特殊化した多丘歯類(ジャドフタテリウム上科)が数多く発見されており、固有性が高い多丘歯類が生息する地域だったと考えられています。しかし、実はアジアでの後期白亜紀の多丘歯類の発見例は一部地域(特にモンゴル)に偏っているため、アジアの他の地域にどのような多丘歯類がいたのかについては、よくわかっていませんでした。コシキバータルは、モンゴル以外から見つかったアジア産の多丘歯類として重要で、多くのモンゴル産のものと同時代の多丘歯類だと考えられるにもかかわらず、モンゴル産の多丘歯類とは顕著に異なる形態的特徴を示しています。したがって、コシキバータルは、後期白亜紀のアジアにこれまで知られていたよりも多様な多丘歯類が暮らしていたことを示唆する重要な証拠と言えます。
・コシキバータルは、モンゴルで繁栄した多丘歯類のグループよりもむしろ北米大陸の多丘歯類と類縁関係があることが示唆されます。多丘歯類の進化的な関係についてはまだ多くの謎が残されていますが、今後発見されるであろう世界各地の多丘歯類の化石との形態的な比較を通じて、多丘歯類の進化史や地理的分布の変遷の解明にも貢献していくことが期待されています。
標本の展示について
・6月6日(土曜日)から甑ミュージアム2階展示室にて特設展示
甑ミュージアムでは今回記者発表したコシキバータル・カシマエンシスの標本や同じ産地で見つかった恐竜化石、希少なモササウルス類の標本など、多数の甑島産の化石を展示していますので、太古の時代を感じに甑ミュージアムへぜひお越しください。
コシキバータル・カシマエンシスの復元画(画 山本匠)




更新日:2026年06月18日