薩摩川内SDGsチャレンジストーリー(#15-1 薩摩川内市西方町 肱岡 泰徳さん)
薩摩川内市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指しており、持続可能な社会の実現のために、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉として、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に薩摩川内市の未来をつくる各種取組を実施しています。
各種取組の1つとして、市内でSDGsに関連する取組を行っている市民の方をインタビューした「SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。第15弾となる今回は、薩摩川内市西方町 肱岡 泰徳さんをインタビューしました。
【関連ゴール】11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任

11 住み続けられるまちづくりを

12 つくる責任つかう責任
薩摩川内市西方町 肱岡 泰徳さん
薩摩川内市西方町。国道3号を阿久根方面に走り、観光名所である人形岩、西方海水浴場を横目に見ながら、左手の細い道に入る。一本入った奥には入り江に沿って小さな集落があった。集落の道の奥にあるのが、今回ご紹介する肱岡泰徳さんのお宅である。入り江を望む家は、まるで小さなテーマパークのようだ。生まれ育った西方の地に帰って来て12年になるという肱岡さんに、暮らしを楽しくするさまざまな創作物について話を聞いた。

ものづくりは仕事の延長。創作心は衰えない
「肱岡家へようこそ」。木彫りの手書き看板が出迎えてくれる肱岡さんのお宅。ガレージと本宅の周りには、カエルをかたどった丸いプラスチックが並んでいる。花や草木を植えてプランターになっているものもあれば、中にはメダカの泳ぐ水槽としても使われている。カラフルでかわいらしい花壇と水槽だ。「これはプラスチックの浮きを再利用したもの。海岸を散歩していると漂着しているからね」と肱岡さん。最初は浮きが流れ着いているなあ、としか思っていなかった。ある日、国道沿いを車で走っていて、浮きをプランターのように使っている様子を目にしたという。「そこからアイデアをもらって、自分も作るようになった。それを見なければ作ってなかったかもしれないね」と笑う。

すべて肱岡さんの手作り。焼肉小屋にシャワールームまで完備!

漁業で用いる浮きを再利用。ユニークなプランターに。
肱岡泰徳さんは、昭和26年生まれ。西方で生まれ育った。実家は肱岡電気商会といい、電気や水道の工事を請け負っていた。家の仕事を小さいころから間近で見て育ったこともあり、進路も自然とその道へ。阿久根農業高校の農業機械科(当時)に進学し、卒業後は関西にある機械メーカーに就職した。「昭和45年入社ですから、高度成長期。機械加工の工場で、金属で作るものは何でも作っていましたね。手先が器用でないと仕事になりませんから、毎日一生懸命でしたよ。父親も2、3年はしっかり修行して来い、という気持ちで送り出した。鹿児島から出稼ぎに来ているという自覚を持って、人が10仕事する時には私は11していた。給料も欲しかったし、評価してもらいたかったですから」。

作業場&憩いの場となっているガレージ
働きぶりが評価され、肱岡さんは40歳で工場のトップになった。毎日100人以上いるスタッフに2時間かけてあいさつしていたそうだ。「顔を見れば体調がわかるから。それと作ったモノを見てチェックしていた」という。41年間のキャリアを振り返ると「先輩に恵まれました。教えてくれる先輩が良かったですね。ケガをしないように、欠陥品を出さないように。ていねいに教えてくれました」と感謝する。「人間関係も大切ですよ。嫌な時でも嫌な顔をしないで、みんなの輪の中に入っていく。ひとりだけ孤独になっていてはいけない。コミュニケーションが苦手な子もいますよ、人としゃべるのがしんどいと。そういう子たちのところにわざと行くようにしていました。肱岡さんが来てくれた、と心を開いてくれるから。仕事が終わったら、みんなで飲みに行きなさいと言っていた。奢ってばかりだと続かないから、最初からみんなで割り勘するようにと。行きたくない子は行かんでいい。無理したら続かない。自分が行く時には私のおごりで、ミスをして叱られた子たちにご馳走していました。あいつは飲み会に行かなかった、とかこんな話が出た、というのは私の耳に入るから(笑)。そういう子たちだけを集めて、私が連れて行っていた。100人いれば、いろんな人がいます」。
(取材:2023年10月)
更新日:2023年11月29日