ラムサール条約登録湿地 藺牟田池
ラムサール条約とは
正式な名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。昭和46年にイランのカスピ海湖畔にあるラムサールという町で採択されたことから、「ラムサール条約」と呼ばれています。
現在は水鳥の生息地だけでなく、広く生態系にとって重要な湿地を保全するための国際条約となっています。また、湿地の保全だけでなく、世界的に認知された湿地をうまく活用していこうという「賢明な利用(ワイズユース)」も提唱されています。
- 湿地の保全
- 賢明な利用
藺牟田池
薩摩川内市祁答院町藺牟田
- 標高 295メートル
- 水深 約3.5メートル
- 面積 約60ヘクタール
- 藺牟田池県立自然公園
- ベッコウトンボ生息地保護区
周囲を標高450~500メートル前後の外輪山に囲まれた火口湖です。火口湖とは、火山の噴火で陥没した部分に雨などがたまってできた湖で、カルデラ湖とも呼ばれています。
藺牟田池の西側の3分の1は湿原化しており、多数の泥炭質の浮島が見られます。この浮島は、「泥炭形成植物群落」として国の天然記念物に指定されています。多くの植物が枯れて完全に腐らずに堆積し、炭化したものです。
貴重な自然が残る藺牟田池では、湿原上にマコモ、ツルヨシ、フトイが見られるほか、水面にはヒツジグサなどの水生植物が生育し、マガモ、ヒドリガモ、カイツブリなどの水鳥も見られます。
池の西側にある湿原は、絶滅が心配されるベッコウトンボをはじめ、たくさんのトンボの産卵や羽化の場として、とても貴重な場所になっています。
ベッコウトンボ 学名:Libellula angelina
ベッコウトンボは、体や羽の色がその名のとおりベッコウ色であることが特徴です。しかし、ベッコウ色なのはヤゴから羽化してトンボとなった未熟な時期だけで、成熟すると黒色になります。
藺牟田池のベッコウトンボは4月中旬ごろから6月下旬ごろに見られますが、もっとも多く見られるは4月下旬から5月上旬です。
かつては本州以南の広い地域の水辺に多く生息していたベッコウトンボですが、近年は池や沼の開発、生活排水などの流入により、その数は激減しています。そのため、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧1A類に指定されています。
ベッコウトンボは平成6年に国内希少野生動植物種に指定され、捕獲が禁止されています。
また、このベッコウトンボが安定的に生息している藺牟田池とその周辺は、平成8年に全国で初めて生息地保護区に指定されました。
更新日:2023年06月14日