薩摩川内SDGsチャレンジストーリー(#18 下甑島 鷹丸工房)

更新日:2023年12月19日

薩摩川内市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指しており、持続可能な社会の実現のために、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉として、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に薩摩川内市の未来をつくる各種取組を実施しています。

各種取組の1つとして、市内でSDGsに関連する取組を行っている市民の方をインタビューした「SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。今回は、鷹丸工房をインタビューしました。

鷹丸工房

鷹丸工房は、甑島でたかえび漁を営む「鷹丸」の加工部門です。

たかえびは、「海の宝石」とも称される下甑の特産品の一つで、下甑では、禁漁期間を設け、限られた資源を守りつつたかえび漁を行っています。

このたかえびを余すことなく加工し、地元ならではの美味しさを提供している鷹丸工房の下野睦子さん、ともに商品開発を行っている下甑地区地域おこし協力隊の澤未恵さん、たかえび漁師の下野尚登さんにインタビューしました。

【関連ゴール】12 つくる責任 つかう責任 14 海の豊かさを守ろう

12 つくる責任つかう責任

12 つくる責任つかう責任

14 海の豊かさを守ろう

14 海の豊かさを守ろう

鷹丸工房 下野 睦子さん

薩摩川内市から西に約26キロ、東シナ海に浮かぶ甑島。上甑、中甑、下甑の3島からなる島は、2020年甑大橋の開通によりひとつにつながりました。アクセスが良くなった下甑島の観光や漁業には、今まで以上に注目が集まっています。

鷹丸工房の下野睦子さん

下甑の特産品の筆頭に挙げられるのが、たかえび。甑島の深海からあがるたかえびは、海の宝石とも呼ばれる美しさ。新鮮な身のプリプリとした食感と味の良さで、高い評価を得ています。

下甑のたかえび漁は禁漁期間を設け、資源を守りながら、4隻の漁船が操業しています。刺身で頂くほか、お味噌汁や椀物に使うと、上品な出汁の旨味を楽しめます。

タカエビを選定する鷹丸工房のみなさん
新鮮なタカエビ

貴重なたかえび。「小さいものも私が捨てさせない。ぜんぶ使う」と、語るのは鷹丸工房の下野睦子さん。たかえびを使った加工品の商品開発に長年取り組んできました。そこには、海の恵みとともに育ってきた睦子さんならではの思いがありました。

下野睦子さん

次は、睦子さんの愛情が生んだ「たかえびすりみ」、開発秘話をご紹介します。

下甑地区地域おこし協力隊 澤 未恵さん

鷹丸工房の加工現場

下甑の海の恵み、たかえび。薩摩甘海老の名の通り、プリプリの甘い身は刺身で頂くと絶品です。この貴重なたかえびを、「余すところなく、全部使う」と、意気込む鷹丸工房の下野睦子さん。以前から、えびを使ったふりかけ「フレフレこしき」や、プレス機を購入してえびせんをつくるなど、様々な商品開発に取り組んできました。

そんな時、睦子さんと出会ったのが地域おこし協力隊の澤未恵さん。2人でたかえびの魅力を伝える商品をつくろうと、日々、作戦会議を重ねます。「睦子さんが、たかえびのすりみでつくっただんごを、お孫さんたちに食べさせてたという話を聞いて。おいしそう!と思って、すぐに開発に取り掛かりました」と澤さん。それから、睦子さんの試行錯誤が始まります。「なかなか配合が決まらなくてね。ある日、試作用の豆腐を買い忘れたの。それで、たかえびと塩と片栗粉だけでつくってみたら、これが大正解だったんです(笑)」

「たかえびのすりみ」パッケージ
タカエビを手にする地域おこし協力隊の澤さんと睦子さん

こうして、誕生した鷹丸工房の「たかえびすりみ」。「小さなえびも、すりみなら使える」と睦子さん。たかえびと塩は甑島産、片栗粉は睦子さんの出身地種子島産を使った、これ以上ないシンプルでぜいたくな、すりみです。下甑の海の恵みをぎゅっと集めた「たかえびすりみ」は、みごと、令和4年度鹿児島県漁業振興大会第56回水産物品評会にて県知事賞を受賞しました!たかえびの風味香るだんご、エビカツ、えびしゅうまいなど、どのレシピもおいしそう!

タカエビを使用したエビカツ
鷹丸工房の商品たち

睦子さんと澤さんのチャレンジは続きます…

鷹丸工房 下野 睦子さん その2

タカエビの燻製「えびくん」を手に笑顔の睦子さんと澤さん

下甑の海の恵みたかえび。網にかかった小さなえびも、「捨てずに、全部使う」と、加工品の開発に情熱を傾ける鷹丸工房の下野睦子さん。地域おこし協力隊の澤未恵さんとタッグを組んで生まれた「たかえびすりみ」に続く商品をつくろうと、「今度は常温で保存できて、調理をしなくても楽しめるものがいいな」と考えた睦子さん。

「以前にえびせんべいをつくったことがヒントになりました。燻製にかけて、たかえびの風味を高めながら、水分を飛ばすことで保存も効く。いろんな人に教えてもらって、協力してもらいました。こちらも、かなり試行錯誤しましたよ」と睦子さんは笑います。「たかえびも開いたほうがいいのか、丸いのがいいのか。形やパッケージにもこだわりました」と澤さん。こうして「たかえびすりみ」に続く第2弾、たかえびの燻製その名も「えびくん」が誕生しました。

たかえびの燻製「えびくん」
形やパッケージにもこだわっている

味わいも噛みごたえも、しっかり。お茶うけからお酒のアテにもうれしい、たかえびの燻製「えびくん」。令和5年度鹿児島県漁業振興大会第57回水産物品評会にて、水産庁長官賞を受賞の吉報が届きました。2年連続の受賞は、睦子さんが愛情を注いできた、たかえびからの恩返しかもしれません。

試行錯誤してつくった「えびくん」について語る2人
試行錯誤してつくった「えびくん」について語る2人

次は、たかえび漁師の下野尚登さんが登場します!

たかえび漁師 下野 尚登さん

下甑の海の恵みたかえび。鷹丸工房の下野睦子さんと、地域おこし協力隊の澤未恵さんが知恵を出し合い、愛情込めて送り出した「たかえびすりみ」と「えびくん」により、鹿児島県漁業振興大会の水産物品評会にて、2年連続受賞という快挙を達成しました。

笑顔の下野尚登さんと睦子さん

「もともとのえびが、おいしいからね」と、謙遜する睦子さん。自慢のたかえびを獲ってくるのは睦子さんの夫、下野尚登さんです。「こんなにたかえびを贅沢に使った商品を思いつくのは、やっぱり睦子さんがたかえびをふんだんに使える環境にいたのが大きい」という澤さん。「みんなで、ああでもない、こうでもない、と話しながら作業をするのが本当に楽しくて。甑島のためにも頑張りたいね、って。力が湧いてきます」と、睦子さん。

下野尚登さんは、たかえび漁26年のベテラン漁師です。甑島でも漁師の数が減るなか、3世代が漁に関わっている事例や取り組みを発表し、鹿児島大学水産学部が主催したシンポジウムでパネラーを務めるなど、幅広く活躍しています。変わりゆく海の環境をどのように見つめているのでしょうか。

談笑する下野尚登さん
甑島の海

「自然の環境は絶対に人間にはコントロールできない。見守るしかできない。でも、漁師としてなんとかそこに活路を見い出したいですね。体が元気な限り、たかえび漁は続けます。そのためには自分の年齢や限界は忘れる。筋トレもしてますよ」と、ほほ笑む尚登さん。「甑島に住んでいてよかった。来て楽しかった、と思える島にしたいね」と語る瞳は、甑島の海のように澄んでいました。

夕日に照らされる甑島の海と甑大橋

(取材:2023年10月)

本記事は薩摩川内SDGsチャレンジInstagramにも掲載しています。HPには掲載していない写真や動画も上がっていますので、ぜひご確認ください

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