薩摩川内SDGsチャレンジストーリー(#38-2 アカリトキ 小田初美さん、小田淳也さん)
本市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。
また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指し、持続可能な社会の実現のために、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に本市の未来を創る各種取り組みを実施しています。
各種取り組みの1つとして、市内でSDGsに関連する取り組みを行っている市民の方をインタビューした「薩摩川内SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。
【関連ゴール】11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任
アカリトキ

アカリトキの小田初美さん(写真左)と小田淳也さん(写真右)
ゆったりと流れる、まちのシンボル川内川。そこにかかる橋、工場からたなびく煙と白い雲。「川内」と聞いて思い描く風景のひとつではないだろうか。薩摩川内市西開聞町SOKO KAKAKA脇の「アカリトキ」も、そんな川風景のなかにある。2021年4月の活動開始以来、川のほとりに、人の心に。ぽっとあかりを灯すように、ひとつずつ歩みを進めてきたアカリトキ。オープンからこれまで、そしてこれから。「アカリトキ」を運営する小田初美さん、淳也さん夫妻に話を聞いた。
原点の思いをお弁当に込めて
令和6年7月。アカリトキの新たなチャレンジが始まる。調理から提供までの効率化を図るため、SOKO KAKAKA脇の厨房に店舗を移し、メニューも一新。喫茶メニューを引き継ぎながら、ランチの提供はテイクアウトのお弁当に切り替えた。「お魚の弁当」「お肉の弁当」「だし巻き弁当」とシンプルなネーミングながら、地味豊かな旬の素材を用いて、栄養も味わいもバランスよく仕上げている。毎日でも食べたくなるお弁当は、すぐに完売御礼のメニューとなった。「今までで、いちばんの手ごたえを感じている」と充実した表情を浮かべる淳也さん。「もともと和食の料理人としてやってきたので。コーヒーもパンも自分がやりたかったことですが、お客さんに受け入れてもらいやすいのでは?と考えてのことでもありました。お弁当は自分がやりたいと心から湧きあがる思いで毎日作っています。食べて気に入ってくださったら、また食べてくださいね、と。素直に作れているから、お客さんの良い反応がめちゃくちゃ嬉しい」と、心の内を明かしてくれた。

テイクアウトのお弁当
3種のお弁当に加えて、人気を博しているのが鯖寿司だ。あっという間に売り切れ、小さな子どもたちもおいしそうに食べているのを見て、こんなに鯖寿司に人気があったかと驚くほどである。「川内に初めて来て、スーパーで見た首折れサバの鮮度の良さ。本当に『これで鯖寿司を作りたい!』と思ったあの原点の思いを、いま出せているんです」と振り返る淳也さん。冒頭のエピソードを思い出してほしい。みごとな伏線回収である。「当時の思いをようやく実現できた。『こんなにおいしいのは初めて食べた』とのお声をいただくと、やってよかったなと本当に思いますね」。柔らかな京都弁がメロディのように弾んだ。

人気の鯖寿司
偶然から生まれた「大綱弁当」
毎年9月に開催され、400年以上の伝統を誇る薩摩川内の秋の祭り「川内大綱引」。令和6年3月には国の重要無形民俗文化財に指定された。それに合わせてアカリトキも「大綱弁当」を販売、祭りの盛り上げに一役買った。しかしそれはまったくの偶然の産物だった。「煮あなごを炊きたいと思って、炊いただけなんですよね」と淳也さん。思いのままに作ったお弁当を見た初美さんが「アナゴが綱に見える」といえば、スタッフも鶏のささみとレッドキャベツで彩ったいなり寿司を指して「これは下方と上方ですか?」、「黄色の出汁巻は、これは審判だ!」こうして生まれた大綱弁当。「知らず知らず、川内に染まっているのかもしれませんね」と、淳也さんも笑った。

大綱弁当
お弁当写真提供:アカリトキ
令和6年9月取材
更新日:2025年02月14日