薩摩川内SDGsチャレンジストーリー(#41-3 入来花水木会 ~入来麓に咲いた花、灯るかがり火~)

更新日:2025年03月07日

本市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。

また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指し、持続可能な社会の実現のために、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に本市の未来を創る各種取り組みを実施しています。

各種取り組みの1つとして、市内でSDGsに関連する取り組みを行っている市民の方をインタビューした「薩摩川内SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。

【関連ゴール】11 住み続けられるまちづくりを

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薩摩川内市入来町浦之名。山城「清色城」跡と樋脇川に囲まれた一帯は中世の町並みを今に伝える「入来麓」として、日本遺産「薩摩の武士が生きた町」のひとつに挙げられます。

先人たちが守り残した武家屋敷群入来麓地区の景観や文化を守りながら、観光地として知名度を上げ、地区全体を活性化させるためには、時流を取り入れながらも慎重なかじ取りが求められます。活動を続けるにあたり大切にしていることを、入来花水木会のメンバーに聞きました。

会長の入来院久子さん、事務局長の下土橋 渡(しもつちはし わたる)さん

「持続可能性ということを考えるとき、現状維持ではだめかなと思う。入来麓の歴史を大切にしながら、町並みも家も古いものを上手に使い、この風土に興味がある人と手を携えて共に歩んでいきたい。住んでいる人たちが元気を持てるような、取り組みをしたいですね」と語る久子さん。地元のものを紹介できるような市場、なりわいも成り立って、地域が豊かになれる方法を模索しています。

先日はイタリアからの短期留学生が入来麓に来てくれたとのよ、笑みを浮かべる久子さん。「入来の()()を見学に来た後日、大学の先生を伴って再び訪れてくれた。入来は金柑が名産だと話すと、金柑でリキュールをつくるのはどうですか?と。焼酎や日本酒は世界的に認められているから良いのではとアイデアを出してくれました。「雪窓院」からお菓子が生まれたように、おもしろいねと思ってもらえる名産品を生んでいけたら」と展望を語ります。

「風景は変えない。現在あるものにアイデアを加えて、アピールする。そうしたら活気づくんじゃないかしら。()()ワイナリー(閉校した朝陽小学校跡地に開業)でワインを作ったりもしていますよね。新しい取り組みをしていきたい」と久子さんは瞳を輝かせます。

 

下土橋渡さんは「入来薪能」の観覧をきっかけに貞子さんと知り合って以来、写真撮影や入来花水木会のホームページづくりを通して、会の活動を広く発信してきました。ふだんはさつま町に暮らす下土橋さん。入来麓には「数百年間続いた歴史、生活なり文化なり、そこに生きていた人々の考え方、その重みを感じる」といいます。「入来文書が伝えることには日本の原点がある。日本人が生きていく道しるべとなるものだと思います。朝河博士の歴史観をひもとけば、日本には農奴はいなかった。稲作をする人々は自分で考え経営をしながら、みんなで助け合ってきたのです。入来麓は地元の人だけではなく、県内外の人々にとっての共通遺産だと思ってもらいたい」と、下土橋さんは願っています。

入来院 久子さんと下土橋 渡さん

入来院 久子さん(写真左)と下土橋 渡(写真右)さん

貞子さんの思いひとつから、この地に芽吹いた花水木。久子さんは次のように振り返ります。「母は入来麓のことが本当に大好きでしたね。貞子さんの遺した薪能の舞台装置も手入れをして、使える状態にはしています。能楽師の方にも入来花水木会の会員になっていただいた。子どもたちに能を伝えたいと、考えてくださっている会員もいます。母もきっと、能舞台をやってほしいと思っているのかな…。入来花水木会といえば薪能と、当時の舞台を見ている人たちは口々におっしゃいます。地道に活動をつづけながら入来薪能もいつか、この地で開催できることを期待しています」

 

入来麓の情熱を次のかがり火に宿せるように。入来花水木会の活動は続きます。

 

国指定の山城背負ふ篝火に舞台の「巴」哀しみの燃ゆ

 

(短歌とエッセー『華』八十一号 妻薪能「巴」打つ 入来院重朝より引用)

入来院 貞子さんの遺影と久子さん

入来院 貞子さんの遺影と久子さん

第七回入来薪能ポスター

令和6年12月取材

写真(第七回入来薪能ポスター)入来花水木会提供

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