薩摩川内チャレンジストーリー(#34 カヨラコーヒー(キャップ) ラボ)
本市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。
また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指し、持続可能な社会の実現のために、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に本市の未来を創る各種取り組みを実施しています。
各種取り組みの1つとして、市内でSDGsに関連する取り組みを行っている市民の方をインタビューした「薩摩川内SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。今回はカヨラコーヒー(キャップ)ラボの取り組みについて紹介します。
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アートとコーヒーを島に
2024年9月、薩摩川内市下甑町手打に、アートとコーヒーのお店「カヨラコーヒー(キャップ)ラボ」がオープンしました。大輪の花のような笑顔で迎えてくれるのは、主宰のカヨサトーさん。福岡市出身、芸術の博士号を持つアーティストです。なぜ甑島に?

「学生時代に知り合った仲の良い友人が甑島の方と結婚し、遊びに行っていい?と。来てみたら、社会からすごくインパクトがありました。植生も違うし、地層も違う。すっかりハマりました」
その友人を通して島の人たちと出会い、「是非ここでやっていきたいな」と、島に拠点を持とうと考えたカヨさん。「島の人たちとも交流したいし、自分がここにいる意味も見つけたい」。その思いにかなう答えがコーヒーでした。

自家焙煎で、20種類以上のスペシャルティコーヒーを揃えるほか、カノコユリやナポレオン岩など、甑島にちなんだ「コシキーズブレンド」も。手打浜で香り高い一杯を楽しむ。豊かな時間がまたひとつ、島の日常に加わります。
アーティスト・カヨサトー

小さい頃から、音楽とアートが好きだったというカヨさん。学生時代に観覧した織タペストリーに魅了され、染め、織りの世界に進みます。
「織物では経糸と緯糸が繰り広げる立体に、色彩が入っていく。光と影が作品の中にできるので、平面に織ったとしても、一定の画面ではない、奥深さがあります。制作には時間がかかるので、時間の記憶、蓄積が作品に出る。自分の表現したいことを具現化するのに織物が合っていたんです」
島の記憶をつなぐ

染織アーティストとして、かつて下甑・瀬々野浦地区でのみつくられていた「ビーダナシ」(芙蓉の繊維で織られた衣)や「クズタナシ」(葛の繊維で織られた衣)を再認識し、島の記憶につなげたい。その一助になればと、ワクワクするような構想をひろげています。
カヨさんの思う、持続可能な社会とは。
「顔が見える人から物を買う、顔が見える人に渡していく、というのがだいじではないでしょうか。信頼してもらえるよう、自分自身を律しながら、『カヨさんのコーヒーが飲みたい。カヨさんがつくった作品が見たい』と言ってもらえるような人でありたいし、そういう場になれば、うれしい」

店を拠点に、生まれる循環。
「コーヒーの出がらしは、びわ農家さんが肥料として使い、そのびわの実が今度はカヨラコーヒーのドリンクになります。また、生豆からはどうしても廃棄する豆が出てくるんですが、はじいた豆も焙煎し染料にして、コーヒー染めにしています。せっかく島に来た豆ですからね」
「島の砂粒のひとつになれたらいいな。手打浜の砂のひと粒に」と、ほほえむカヨさん。甑島から世界へ。新たな航海は始まったばかりです。
更新日:2025年02月12日