【まちナビ・コラム】 第16回 初夏の田植えに願いを込めて―御田植祭と受け継がれる稲の物語
初夏の訪れとともに田植えが始まっている。6月7日、新田神社において御田植祭が執り行われた。御田植祭は、古くから田の神を迎え入れ、苗を植える所作を神前で再現し、その年の五穀豊穣を祈願する神事である。農耕が地域社会の根幹であった時代より受け継がれてきた伝統行事であり、人々の暮らしと深く結びついている。
祭礼の中で披露される奴踊りは、力強く勇壮な動きとともに、田の神への感謝と豊作への願いを表現するものである。独特の掛け声や所作には、地域の結束と文化の継承の思いが込められている。
本市内の倉野地区には、ニニギノミコトが川で転覆した際に稲がもたらされたとする伝承が残され、稲作の伝来を物語っている。また、水引地区は「水を引いて田を拓く」ことに由来しているといわれ、こうした営みによって稲作が広がった地域である。これらはいずれも、米づくりが地域の歴史と生活に深く根ざしてきたことを示している。
御田植祭は、こうした由来や伝承を今に伝えながら、人々が自然の恵みに感謝し、五穀豊穣を祈る貴重な機会である。地域の誇りとして、今後も大切に守り継いでいくことが望まれる。秋には実り豊かな収穫が期待されるところである。

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更新日:2026年06月19日