薩摩川内SDGsチャレンジストーリー(#24 森重心結さんと新体操教室「タートルRG」)

更新日:2024年03月08日

薩摩川内市では、令和3年6月8日に、市長が「薩摩川内市未来創生SDGs・カーボンニュートラル宣言」を実施し、2030年SDGsの達成と2050年カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいます。また、令和4年5月20日には、国(内閣府)のSDGs未来都市に選定され、今後さらにSDGs及びカーボンニュートラルの達成に向けて、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉に市民総ぐるみで取り組むことを目指しており、持続可能な社会の実現のために、「薩摩川内SDGsチャレンジ」を合言葉として、一人ひとりができることからSDGsの達成に貢献し、市民のみなさんと一緒に薩摩川内市の未来をつくる各種取組を実施しています。

各種取組の1つとして、市内でSDGsに関連する取組を行っている市民の方をインタビューした「SDGsチャレンジストーリー」を動画及びWebコラムにて公表しています。今回は、薩摩川内市の小学生でジュニアタレントの森重 心結さんと森重さんが通う新体操教室「タートルRG」の指導者の鎌田弘恵さん、実優さん親子をインタビューしました。

【関連ゴール】4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界中に 12 つくる責任つかう責任

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薩摩川内市のSDGsチャレンジガイドブックを手にする森重さん

2015年に国連総会で採択され、世界共通の目標として国連加盟193カ国が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)。以来、さまざまな広報・啓発活動が行われ、少しずつ世の中に浸透してきました。「近ごろでは子どもたちのほうが、SDGsについてよく知っているな…」そんなふうに感じることも少なからずあります。それもそのはず、小学校では2020年度から「新学習指導要領」にSDGsに関する内容が追加され、SDGs教育が始まっています。これを「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable development)」といい、持続可能な社会づくりの担い手を育成することが、SDGsすべてのゴール達成に寄与するとの考えから、文部科学省が推進しているのです。

薩摩川内市の小学校に通う森重心結(みゆ)さん。学校の勉強や習いごとの新体操を頑張りながら、テレビコマーシャルに出演するなど、ジュニアタレントとしても活躍しています。ある時、心結さんにテレビ番組のオーディションのお話がきました。面接の結果、合格した心結さん。番組は、子どもたちがクイズに挑戦しながらSDGsについて学ぶというものでした。心結さんに、その時のことを振り返ってもらいました。

それまでにSDGsという言葉を聞いたことはありましたか?

「学校の友だちがSDGsの本を読んでいるのを見て興味を持ち、実際に読んでみました。SDGs17の目標について、漫画でくわしく説明してある本でした。読んでみたけど、けっこう難しかった(笑)」

そこで、テレビ番組出演にあたり薩摩川内市が作成したSDGsのガイドブックを利用して、事前に勉強をした心結さん。クイズは3択方式で、心結さんと同世代の子ども3人がチームを組んで挑戦しました。

出演した感想は?

「おもしろかった」

どんなところがおもしろかった?

「答えが全部合っていたから、おもしろかった!」

勉強の甲斐あって、見事全問正解だったそうです!

どんな問題が出ましたか?

「印象に残っているのは…このメモ帳は何から作られているでしょう?という問題です。実際に触って何から作られているかを当てる問題で、3つの選択肢から答えを選ぶんですが、難しかった。よく見て、手で触って、仲間と相談して決めました」

読者のみなさんは、選択肢無しから想像できますか?

正解は「折り鶴」。知覧特攻平和会館ではSDGsへの取り組みとして、「千羽鶴再生プロジェクト」など4つの取り組みを行っているそうです。同会館に寄贈される多くの折り鶴は、一定期間展示された後、広島市内にある障がい者福祉作業所「すまいるスタジオ」へと送られ、一筆箋やメモ帳などの紙製品に生まれ変わり販売されているのだそうです。折り鶴がこのような形で再利用されているというのは、心結さんから教えてもらって初めて知りました。

「みんなで話し合って協力して決めたから、正解できた」と、笑顔になる心結さん。薩摩川内市が作成したSDGsのパンフレットで勉強した知識と自信をもって、仲間たちとクイズに挑戦し、ひとつの番組を楽しく作り上げるというミッションを達成することができました。

新体操教室「タートルRG」

インタビューの日は、森重心結さんが通う新体操の教室「タートルRG」の練習の様子を見学させてもらいました。

タートルRG_1 

「タートルRG」で子どもたちを指導している鎌田弘恵さん、実優さん親子とコーチが真剣な眼差しで子どもたちを見つめる中、子どもたちが元気いっぱい、跳んだり跳ねたり、ポーズを決めているのを見ると、こちらまで幸せな気持ちになります。

代表の鎌田弘恵さんは川内純心女子高等学校の体育教師でした。同校の新体操部を指導したのち、20数年前にタートルRGで選手コースを立ち上げました。鎌田さんは指導者として、心結さんを次のように評価しています。

「心結さんは生まれ持ったものに加えて、ジュニアタレントという経験もあって、表情のつけ方など高い表現力を持っています。彼女が3年生の時、タートルの6チームのうち上位2チームが九州大会へ進むことができたんです。上級生たちが心結さんの表現力を見てハッとして、心結さんの表情をよく見て、まねることで、チームの表現力がぐっと上がった。それが良い結果につながりました。心結さんには『あなたのおかげで、みんなの表現力が上がったよ』と伝えました。それは本人の自信にもなったと思います」。

指導者として大切にしていることを教えてください

「タートルRGで大切にしていることは、あいさつと返事。そこからすべてが始まります」と、ほほ笑む鎌田さん。30年以上に及ぶ子どもたちとの付き合いを通して、おのずと大切にすることが残っていったそうです。

「自分のことは自分でする。例えば自分の荷物は自分で運ぶ、というようなことですね。そして、自分で選ぶ。新体操でいったら、どんな表現をしたいのか。どんな音楽、どんな衣装がいいのか。しっかり自分で考えて、決める。自分の「好き」を知ることが、センスを磨くことにつながります。

指導者としてするのは「提案」のみ。保護者ができるのは「環境づくり」。そして人との「関わり」を増やすこと。親御さんには『お子さんと、たくさんおしゃべりしてくださいね』と、常に伝えています」。

「ダメはダメ。褒めるところは褒める。なぜそれが必要なのか、子どもたちがわかるまで説明する」と鎌田さんはいいます。今となっては、これほど粘り強く、当たり前のことを言い続けてくれる指導者は少なくなったかもしれません。新体操を指導しているようで、育てているのはひとりの人間としてのあり方である、という印象を受けました。

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鎌田さんに、SDGs17の目標のひとつ「質の高い教育をみんなに」について、思うところをお伺いしました。

私の思う質の高い教育とは、『やる気の芽を育てる』こと。子どもたちをよく見て、声かけをすることで、その芽を育てていくんです。自分で目標を立てて、それに向けて頑張ること。一番になれるのは一人だけですが、たとえ目標を達成できなくても、その過程において、めざましく成長していきます」。

時には指導を始める前に、1時間ほど話をすることもあるといいます。「最初は話を聞けなかった子たちが、人の話をよく聞けるようになる。話を聞く姿勢が出てくると練習の姿勢が変わる、真剣味が出てくる。そうなると不思議と学校の成績も伸びてくるんです」。

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タートルRGで指導を受けた門下生たちが今、国体出場や全日本の学生チャンピオンに輝くなど、華々しい活躍をみせています。鎌田さんの指導スキルは専門的に学んだものではなく、ご自身の育児経験や今までの指導で培われてきたものだそうです。

「なんでしょうね、子どもへの愛情かな。厳しいことも言いますが、同じくらい『あなたたちは感心だね。偉いね、よく頑張っているよ』と声かけします。保護者の方も謙遜はほどほどに(笑)、我が子のことを認めて、褒めて伸ばしてください」と、エールを送ります。

母・弘恵さんから、「何かをやりたいと言ったら『いいよ、やらんね』と、いつも励ましてもらってきた」と話す娘の実優さんも「指導を通して、私も子どもたちから学ぶことばかりです。子どもたちのピュアな気持ち、成長する姿を見て、自分も頑張ろうと思えます」と、目を細めます。

 

タートルRGをはじめ学習塾や療育支援など、日ごろからさまざまな子どもたちと接している鎌田弘恵さん、実優さん親子。「質の高い教育をみんなに」というSDGsの目標に向けて、まさに現在進行形でチャレンジしています。子どもたちに向ける厳しくもあたたかい愛情と筋の通った指導方針に、深い感銘を受けました。

森重さんが学校や家庭で実践するSDGsとは

薩摩川内市が作成したSDGsのパンフレットを手にする森重心結さん。いまどきの明るい小学生代表として、心結さんに頑張っていることを聞きました。

SDGs17の目標で意識することは?

「水を大切にすること。手をせっけんで洗っている時に、先生から『水はお金だよ』と言われて、出しっぱなしでいたら『1円2円3円…』って数えられる(笑)。コロナやインフルエンザもあるので、手洗いはしっかりしています」

お母さまに話を聞くと、お買い物に行く時には心結さんのほうから「エコバッグ取った?」と確認したり、お風呂の時にはシャワーの水をなるべくこまめに止めたりと、心結さんなりにSDGsを理解して、努力している様子でした。通っている小学校でも社会の時間でSDGsの勉強をしているので、「習ったことを生活の中に取り入れてみよう」という思いが生まれたと心結さんは話します。

学校では、どんなことを実践していますか?

「給食を残さないこと」

このほか、学校や地域ではペットボトルのキャップや、空き缶のプルタブ集めなども随時行われているそうで、「お父さんがビールを飲むから、たくさん集まってる」と家庭でも習慣になっているようです。心結さんが参加した新体操の大会会場でも、キャップ集めをしていたことがあったそう。身近なボランティア活動として、なじみ深いものになっていることを実感しました。

これからも続けたいことは何ですか?

「新体操。体操は小学校1年生の後半から始めた。頑張れているのは、みんなが優しいし、楽しいから。みんなで声を出したり、踊りを合わせたりするのが楽しい。先輩たちが一つひとつ絵を描いて、動きを教えてくれる」

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上手になったな、成長したな、と思うのはどんな時?

「初めてやる技が一回でできたとき」

これからも頑張って、新体操で有名な実力校に進みたい、と話す心結さん。続けるためには何が必要?と聞くと、少しおどけて「どりょく~」とのお答え。自分では頑張り屋さんだとは思わない。でも行きたいところに行こうと思ったら努力が必要だと思う、としっかりとした表情で答えます。頑張れるのは、家族の協力があるから。お母さまの手づくり弁当が新体操を頑張る力になっていると、教えてくれました。

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これからの目標を教えてください

「人前で自分を表現するようなことをしたいし、もうちょっと、いろんなことに挑戦をして、まだまだいろんなところに出たい。みんなに見てもらいたい」

「ふだんから目立ちたがり屋なの?そうでもない?目立とうと思わなくても目立っちゃう?」と聞くと、「そうなんです」と言わんばかりに、大きな目をさらに見開く心結さん。その表情に思わずお母さまと一緒に笑ってしまいました。「この子は家でも外でも変わらない、そのまんまですね」と、お母さまも認める自然体です。

「新体操の上手な先輩になりたい。学校ではみんなと仲良くしたい」と、せきを切ったように思いがあふれてきます。将来の夢は、女優さん。映画とかドラマに出たい。怖い映画も好き。ゾンビ役もできるんですよ~!と、ゾンビの真似をしながら、ユーモアたっぷりに話す心結さん。

演技も上手。演技レッスン、タレントレッスン、ボイストレーニング、モデルウォーキング、いろんなレッスンを受けていますが、つらいと思うことは?との問いかけには「ない」と即答。

これからも「水を大切にすることやエコバックを使ってSDGsの取組を行いたい」という、明るく陽気で頼もしい、森重心結さんの成長がとっても楽しみです。

2023年10月取材

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