広報薩摩川内4月通常版 キジカケル突撃レポート~太古の世界を見に行こう編~

更新日:2025年04月09日

甑ミュージアムロゴ
見出し
甑島列島には「姫浦層群」と呼ばれる白亜紀後期の地層が分布しています。この地層から、二枚貝やアンモナイト、魚類などの海の生き物の化石に加え、恐竜やワニ、カメ、硬鱗魚、植物などの陸や淡水に生息していた生き物の化石がたくさん見つかっています。
 
今回は、鹿島市民サービスセンターを博物館として改修し、4月にオープンした「甑ミュージアム」の見どころをたっぷり紹介します。
甑ミュージアム外観
恐竜分類

令和元年(平成31年)度広報薩摩川内7月通常版「キジカケル」では、甑ミュージアム恐竜化石等準備室を紹介しています。

甑ミュージアムの歴史
平成20年 鹿島地域で県内初の恐竜化石を発見
平成21年 化石発掘体験会でウミネコ留学生が獣脚類恐竜の歯の化石を発見
平成22年 鹿島支所内に常設展「甑島の化石展」を設置
平成23年 日本初、アジアでも3例目のケラトプス類の化石を発見
平成24年 竜脚類恐竜の歯の化石を発見
平成27年 甑ミュージアム恐竜化石等準備室オープン
平成28年 ハドロサウルス類の大腿骨の化石を発見
平成29年 第3土曜日化石プログラム開始
令和2年 海生ワニ類と海生トカゲ類の歯の化石について記者発表
令和3年 甑ミュージアム改修工事に着手
令和4年 甑ミュージアム運営協議会を設置
令和7年 甑ミュージアムオープン

 

甑ミュージアム魅力
今回は、甑ミュージアムの山下学芸員にインタビューし、皆さんに伝えたい魅力や注目の化石などを聞いてきました!

まずは甑ミュージアムについて詳しく教えてください!

甑島の地質や化石について調査研究、標本の収集・展示を行い、教育普及に役立て、後世まで残すことを目的としています。
これまで地域の方や研究者の協力を得て、調査研究や展示作りなどを行ってきましたが、ついに開館を迎えました。

キジカケル1
開館時間
9時~17時(入館受付は16時30分まで)
休館日
・ 水曜日(水曜日が祝日の場合は翌日以降の祝日でない日)
・年末年始(12月29日~1月3日)(注意)変更となる場合があります。
入館料
区分 入館料
個人 団体
(15名以上)
年間入館料



大人 市民 250円 200円 500円
市民以外 500円 400円 1,000円
学生 市民 150円 120円 300円
市民以外 300円 240円 600円
小中学生 市民 無料
市民以外 250円 200円 500円

(注意)未就学児は無料

甑ミュージアム地図
甑ミュージアムまでの行き方

住所=鹿島町藺牟田1457番地10

連絡先=09969-4-2211

駐車台数=約30台

特徴は何ですか?

山下学芸員
なんといっても、展示標本のほとんどが甑島産の化石や岩石である点です。
また、展示は最新の研究成果に合わせて更新していく予定なので、何回来ても楽しめるようになっています。

甑島の地層から分かることは何ですか?

オルソコーツァイト

オルソコーツァイトの薄片

恐竜時代末と、その後の哺乳類の時代に東アジアに生息していた生き物や環境について知ることができます。
また、甑島の地層に含まれる石を、光を通すまで薄くして「薄片」を作り、中の鉱物を観察すると、甑島が昔はユーラシア大陸と陸続きだったことが分かります。左の写真は、大陸上でしかできない石英の粒でできている堆積岩で、オルソコーツァイトという岩石です。

イチ押しの化石は何ですか?

上甑島産のハドロサウルス類サウロロフス大腿骨です。約1年半かけてクリーニングして、ようやく全貌が明らかになりました。
国内の恐竜化石の中で、最も恐竜の絶滅期に近い時代の化石として注目されました。
サウロロフス

サウロロフス

サウロロフスの大腿骨

サウロロフスの大腿骨

キジカケル2
甑島で発見された骨は、恐竜の太ももの骨の上半分だったんだって!
推定すると約10メートルの大きさで、全身骨格を見ると、どれだけ大きい恐竜が生息していたか分かるね。
太ももの化石や全身骨格標本はフロアマップの26で見ることができるよ!

1階に展示している化石・標本

アフロベナトル

アフロベナトル

マラウィサウルス

マラウィサウルス

プロトケラトプス

プロトケラトプス

パラサウロロフス

パラサウロロフス

化石をゲットしよう!

出入口付近に設置しているカプセルトイでは、海外で見つかった本物の化石をゲットすることができます。
来館の記念に試してみてはいかがですか。(1回400円)

1階フロアマップ

1階フロアマップ
キッズスペースおもちゃ
キッズスペース
キジカケル3
1階にはキッズスペース(11)があり、絵本などが用意されているよ!
ここでは飲食もできるので、一息つくことができるね

2階の展示は何があるんですか?

1章の「甑島の大地」から始まり、「白亜紀の海の世界」、「白亜紀の陸の世界」、「古第三紀の世界」、「現在の甑島」までの5つのテーマに沿って、さまざまな化石や岩石を展示しています。
 
甑島では新種のアンモナイトが複数発見されており、そのうち2種を2章「白亜紀の海の世界」のどこかに展示しているので、ぜひ探してみてください。

この化石は何ですか?

テルミノナリス
「テルミノナリス」という、恐竜時代の海を泳いでいたワニの仲間で、国内ではここでしか見られない標本です。甑島では北西太平洋地域で2例目となる海ワニの歯が見つかっています。
テルミノナリス正面
テルミノナリス歯

テルミノナリスの歯

キジカケル4
海ワニの歯を近くで見てみると、口の内側に向かって曲がっていて、食べた魚を逃がさないようになっていたよ。
甑島で見つかった歯の化石も展示しているので見てみてね!

注目のコーナーがあると聞きましたが、、、

甑島の成り立ちや自然環境などを学ぶことができるプロジェクションマッピング(3)はぜひ見てほしいです。鹿島地域の住民の声で解説します。
プロジェクションマッピング
プロジェクションマッピング

2階フロアマップ

2階フロアマップ

3階フロアマップ

3階フロアマップ
フロアマップ
1 受付 10 研究作業室
2 展示ホール 11 交流スペース
3 展示室 12 ミュージアムショップ
4 収蔵庫 13 鹿島市民サービスセンター
5 パネル展示 14 多目的室
6 サウロロフスの大型骨格標本 15 会議室
7 酸処理室 16 企画展示室
8 クリーニング室 17 学習室
9 収蔵庫(荷解室) 18 多目的ホール

 

甑ミュージアムで 匠の技が見られるんですか?

1階の化石クリーニング室(8)で化石の周りについた余分な岩石を取り除く作業を見学できます(主に平日の午前中)。
年2回の集中発掘調査などで見つかった化石を含む岩石を運び込み、日々コツコツと作業が進められています。
高い技術と集中力が求められる作業で、10年以上の経験を積んだベテランスタッフの技術は、海外の研究者も舌を巻くほど。甑島の化石の研究を支えている非常に重要な作業です。

化石クリーニング

化石クリーニングの様子

化石クリーニング
キジカケル5
難しいポイントは、化石と岩石の色が似ていると境が判別しにくいところだって!
エアスクライバーとデザインナイフ

エアスクライバーとデザインナイフ

発掘調査

発掘調査の様子

作業は基本的にエアスクライバーで削り、細かい部分はデザインナイフを使って削っていきます。
発掘された岩石
発掘されたサメの歯を含む岩石
剖出後の岩石
クリーニング後のサメの歯
山下学芸員
ここまできれいに剖出できるのは匠の技です。

山下学芸員から皆さんへ

甑島は魅力がいっぱいの島なので、甑ミュージアムの開館をきっかけにたくさんの方に島を訪れてもらえたらうれしいです。
野外の見どころが甑ミュージアムから近いのも特徴なので、展示を見た後は、ぜひ実際の地形や地質、動植物を観察してみてください!
甑ミュージアムの展示は、甑島の皆さんや研究者の協力のもと、こだわって製作しました。もし分からないことがありましたら、ぜひお声掛けください。
甑ミュージアム外観

今回は、4 月にオープンした甑ミュージアムを山下学芸員にたっぷり紹介していただきました。
このミュージアムのコンセプトでもある、「ここだけでしか見ることのできない甑島の化石の展示」のとおり、魅力が詰まった展示ばかりです。
ぜひ皆さん、絶景と太古の世界に触れるべく、甑ミュージアムへ行ってみてはいかがでしょうか。

この記事に関するお問い合わせ先

未来政策部 秘書広報課 企画総務・広聴広報グループ
〒895-8650 神田町3-22
電話番号:0996-23-5111 ファックス番号:0996-20-5570
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