【広報薩摩川内6月通常版】人のとなりに~県内初 女性の消防団長の消防団への思いに寄います~
人のとなりにとは、文字通り、その人の隣にいて、思いに寄り添うことや人柄を表す言葉「人となり」をイメージしたコーナーで、人物や活動の紹介だけでなく、その人の思いにスポットを当てることを目的としています。

平成14年に地域を守る本市の消防団に初めて女性団員が入団してから23年。 令和7年4月、その発足から女性消防団に携わってきた団員の1人が、県内初の消防団長に就任しました。 今回は、これまで築いてきた女性消防団の活動や、これからの消防団への思いに寄り添います。
恐れず飛び込んだ消防団
「平成14年、女性の消防団員を募集するので入らないかと勧誘があった。当時消防に関する知識など全くなかったが、夫が消防団に所属しているため、消防団への理解は少しあった。不安よりも、自分ができることは何かという前向きな気持ちがあった」と話すのは、令和7年4月に県内で初めて女性の消防団長に就任した宮里英子さん。
女性の消防団員の採用を開始した当初、入団したのは7人だったと話します。
試行錯誤の活動
入団当初、右も左も分からず、女性消防団員として何をすればいいのか、何ができるのか、仲間と集まる中で不安だらけだったといいます。 「入団した以上は、規律を正し、女性たちでできることを確立して、目標を持ってやりたかった。だから、女性消防団の知名度を上げるために地域のイベントには何でも参加した」と話します。他にも、他市町村の活動発表会に参加したり、研修を受けたりしたそうです。「他の団の活動発表を見たときは、その活動内容に衝撃を受けた。『自分たちにも何かできることがあるはず』と女性だからこそできることを手探りで考えた」と話します。
衣装や紙芝居を手作りして、幼稚園や保育園で防火に関する劇や避難時を想定した炊き出し訓練をするなど、火災や防災に関する広報活動を行ううちに、消防団に女性がいることを少しずつ皆さんに知ってもらって、認めてもらうことができたそうです。「消防団として、女性ならではの視点で活動することができ、励ましの声を掛けられるとうれしい」と話します。
重圧をやりがいに
宮里さんは、消防団長に就任しましたが、その裏にはプレッシャーや悩みもあったそうです。
「周りから、団長として頑張ってほしいという声があった。その反面、女性の消防団長という前例がなかったので決断にとても悩んだ。でも、家族からの理解をもらい、私にできることを頑張ってみようと思い決心した」と話します。
本市消防団の消防団員は減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。地域で火災が発生したり、行方不明者が出たりしたときに、その地域の特徴を一番知っているのは地域に住む消防団員。まずは、消防団の活動を知ってもらい、興味を持ってもらえるようにもっと情報発信を行っていきたい。また、若い人たちにも親しみを持ってもらい、入団してもらえるよう、時代に合わせたやり方で活動できるようにしたい」と話します。
形にとらわれない消防団を作るため、チャレンジ精神を大切にしていきたいそうです。
まずは自分自身を守る

防災に関する広報活動も行っている宮里さんは、いざというときのためには、「備え」が大切だと話します。 「全国各地で異常気象による自然災害や、森林災害も増えているが、ニュースを見て俯瞰しない、自分事だと思うこと。物資だけでなく、心も備えることで災害に対して構えることができる。日頃からの情報収集や、自分なりのリラックス方法を知ること、定期的に非常用持出袋を確認するなどできることから始めてほしい。そのために、防災に関する豆知識や便利なアイテムなども伝えていきたい」と日頃の備えの大切さを教えてくれました。
更新日:2025年05月07日